第22回FP学会にオンライン参加しました。
一日で、金融庁長官、日銀前総裁のお話が聴ける貴重な機会でした。
中島淳一金融庁長官の講演
コロナへの対応として事業者ニーズに応じた資金繰り支援、デジタル化の推進として金融分野における業務・手続きの電子化、サステナブルファイナンスの推進としてグリーン国際金融センターの実現、資本市場の活性化としてコーポレートガバナンス改革の推進、顧客本意の業務運営として金融リテラシーの向上などについて触れていました。
銀行のシステム障害について、同じ障害を繰り返さないよう、原因究明と再発防止に取り組まなければならないとも話されていました。
白川方明日銀前総裁の講演
中央銀行の役割は、物価の安定と金融システムの安定である。2000年以降の生産年齢人口1人当たりのGDP成長率は先進国の中で最も高い。問題は日本の労働人口の減少であり、生産性を高める必要がある。
住宅を含めて見ると、日本の家計の保有資産に占める現預金の比率は高い訳ではない。現預金から株式などのリスク資産へという議論には違和感がある。
ファイナンシャルプランナーの役割については、情報収集には時間やコストがかかる、マクロの経済・金融環境の見方は専門家の間でも意見が大きく分かれる、個人の学習効果だけに期待することは難しい、などの側面からファイナンシャルプランナーが必要と話されていました。
田近栄治一橋大学名誉教授の講演
日本の財政の現状をコロナ以前の「平時」と「コロナ禍」の二面からお話されていました。
「平時」の財政では、「国の財政力」が弱まっており、その原因が増大を続ける社会保障関係費であること、社会保障給付費とその財源、医療・介護保険の仕組みを通じて、給付費が増大し、それにともない公費負担が自動的に増加していること、増大を続ける公費負担への対応として、「給付から公費への関係」を改めて「保険料と公費負担から医療給付費を自動的に調整する仕組み」が必要なことなどのお話がありました。
金融・財政分野の第一人者の講演をオンラインで拝聴できる大変有意義な学会でした。