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1、経営から見た法務への期待:企業成長の鍵を握る法務の役割
白井俊之氏/株式会社ニトリホールディングス代表取締役社長兼COO
・1967年創業、約1,100店舗
・法務部門40名弱
・業務量の定量化
・毎週火水朝8時から部門会議
・ニトリグループ行動憲章の制定
・株主総会、取締役会の事務局の役割
・家具を買いそうな見込み客情報の収集など、以前はできた個人情報の収集ができない
・法務部門と業務部門のつながりが強い
・会社の経営方針を理解した上での部門推進と部下の育成が大事
・配転=部門を超えた人事異動
・社内においていろいろな部署を経験した社員がいろいろな部署に散らばっている
・専門家が育ちにくくなるというデメリットもあるが、多面的に考える人材の育成、全社最適で考える、セクショナリズムを無くす、というメリットの方が大きい
・1つの部署で解決する課題が少ない
・法務部スタッフが商品開発部にもデスクを置いている
・取締役以外では法務部が一番多く他部署の会議に参加している
・企業の成長に伴い業務量が増える中で、業務効率を下げずに維持するオペレーションを定例会で検討
・東南アジアへのグローバル展開を進める方針
・インドネシアの輸入規制など貿易・商習慣の違いを踏まえた法令遵守が必要
・国内・現地人材の育成が課題
2、グローバル時代におけるM&A戦略~法務の視点から~
石綿学氏/森・濱田松本法律事務所弁護士(第二東京弁護士会)、ニューヨーク州弁護士
・企業価値=将来キャッシュフローの割引現在価値の総和
・第一三共の事例:非医薬品事業のグループ外自立化
・収益性の高い事業を残す選択と集中
・企業価値を高めるポートフォリオの構築
・企業買収行動指針の策定が肝要
・取締役の善管注意義務に違反しないよう留意(法令違反、取締役の個人的利害のあるM&Aはできない)
・M&Aの判断基準:企業価値の向上、株主の利益に資するかどうか
・経営陣の思考を適切に理解する
・アドバイザーは期待値を適切に見積ることが必要
・クロスボーダーM&Aの重要性が増している
・地政学的要素の考慮、契約交渉の綿密な準備、契約後も含めた実地調査が必要
3、世界標準の経営理論に基づく戦略的法務:人材・組織・DX戦略を通じた経営と法務の連携
入山章栄氏/早稲田大学大学院経営管理研究科、早稲田大学ビジネススクール教授
・知識軸、抽象軸、表現軸では人はAIに敵わない
・契約、社内規定、コンプラ支援、行政手続きなどはAIが代替可能
・答えがない中で答えを出すのはAIにはできない
・イノベーションは人の領域
・イノベーションの本質は既存の知と既存の知の新しい組み合わせ
・自分から遠く離れた知を集めて自分の知と組み合わせる
・「探索」と「深化」の両効きが大事
・「探索」は人、「深化」はAIの領域
・発想は移動距離に比例する
・感情労働は人の専門領域
・ロビーイング(政策や法律などに対して、政策決定者に口頭や文書で働きかけること)も人にしかできない
・ルールを変える攻めのリーガル(消防法と置き配、給食法とスクールランチ)
・三井化学の事例:世界中の研究論文を自社のLLM(大規模言語モデル)に集約
・日本で一番DXが進んでいる飲食チェーンは丸亀製麺
・生成AIに最初にやられる分野は「大学」
・試験をレポートでなく面接でのケーススタディにした
また、個別セッションでは以下企業の法務責任者が登壇。
メドレー、メルカリ、CCC、SONY、Google、サイバーエージェント、リクルート、三井物産、日本たばこ産業、野村ホールディングス、サントリー、パナソニック
全従業員にコンプライアンスアンケート
各セッション登壇者のコメントは以下の通りです。
・法改正に先んじて対策を検討
・法務部監督の下に事業部から弁護士への直接相談することも可
・有識者のアドバイザリーボードから事業が適正かどうか意見をもらう
・IR、グループ行動規範作成も法務部が担当
・事業検討の早い段階で法務面での検討をする
・1 on 1 で対話する企業文化があり法務部と事業部の対話が活発
・「どうすればできるのか」を考える
・グレー判断の基準①法益にかなってるか②ユーザーが支援してくれるか
・クオリティマネジメント部がプロジェクト単位で各部署の人を集め意見を聞く
・法務部はプロフィットセンターでなくコストセンターと思われている
リーガルオペレーションズ「CORE8」についても学びました。
1. 戦略
2. 予算
3. マネジメント
4. 人材
5. 業務フロー
6. ナレッジマネジメント
7. 外部リソースの活用
8. テクノロジーの活用
具体的な内容としては、例えば「予算」では適切な予算策定・運用の分析、「マネジメント」では法務組織の最適化、「人材」では人材育成や最適化、「業務フロー」では標準化と定期的な見直し、「テクノロジー」では導入したテクノロジーを使いこなす段階を目指し、すべきことが提案されている。
人×AI・リーガルテックによって法務機能を構築し、高まる経営からの要請にこたえていく時代となっていることを感じました。