河野龍太郎氏講演

『グローバルインフレと日本の経済社会への含意』と題して、河野龍太郎氏/BNPパリバ証券経済調査本部長より講演頂きました。

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河野氏日経ヴェリタスエコノミストランキングで4年連続1位を獲得。日本銀行のマイナス金利解除を2023年7月の時点で予測していました。

グローバルインフレの顛末
・2021年春頃からグローバルインフレが進行
・2022年には米国の物価上昇率7%
・しつこく高いインフレは財政引き締め無しでは収まらない
・2023年末のパウエル議長の利下げ言及で長期金利は大幅に低下、資産価格は上昇
・2023年3月のシリコンバレー銀行破綻は、企業、家計の破綻無く、急激な金利上昇、米国債の価格低下により銀行のみ破綻
・米国では高齢者が労働市場に戻らず
・低生産性、低賃金の企業から高生産性、高賃金の企業へ労働移動が進む

トランプ再登場がもたらすもの
・トランプ再選の場合、退任後の恩赦狙いでロシア、ウクライナ和平、イスラエルパレスチナ和平に注力する可能性
・紛争終結の平和の配当を織り込んで株式市場が活況となる可能性

ヨーロッパ人は働かなくなった
・ヨーロッパ人は従来の金曜昼から半ドンが、コロナ後は在宅勤務の影響で木曜昼から半ドンに変わった
・欧州新興国では、チェコスロバキアポーランドハンガリーでインフレが進行

中国低迷の結末
・中国では25〜34歳の住宅購入主力世代人口が減少、住宅需要は低迷、不動産業の過剰債務問題の解決は遠い

日本の個人消費低迷
・円安インフレが家計の実質購買力を削ぎ個人消費回復の足枷に
・2023年の3.6%の高い賃上げは、2022年度の3%インフレで目減りした実質賃金を補ったことが背景
・2024年の5.3%の高い賃上げは需給ギャップのタイト化が背景
・2020年4月に残業規制が中堅中小企業に適用、コロナ後の経済再開、高齢者の労働市場参入頭打ちにより、残業規制の影響が顕在化
・2024年4月には残業規制が運輸、建設にも適用され人手不足は深刻化
・円安インフレによるインバウンド需要増で、国内観光地の物価も上がり、国内の個人消費がクラウディングアウトされている
・国内では2021年からインフレにより預金の価値が目減り
・日本がドイツにGDPを抜かれた要因は実質円レートの低下が影響

著名なエコノミストから米国、欧州、中国、日本のグローバルな経済情勢を伺える貴重な機会でした。