野口悠紀雄氏講演

一橋大学名誉教授の野口悠紀雄氏より「日本経済のゆくえ 日銀はなぜ大規模緩和をやめないのか」と題して講演いただきました。

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1. 大規模金融緩和でマネーは増えなかった
国債大量購入により金利が低下したが、円安をもたらしただけで、マネーは増えなかった。
マネーが増えなかったので、金融緩和が効果を持つはずがない。
2. 円安が続く
2022年以降の大幅な円安は、日本が金利を上げないため。 企業の利益が自動的に増えるため、企業は生産性を上げる努力を失った。
3. 物価上昇が収まらない
いまの物価上昇は、円安による(海外インフレが原因ではなくなっている)
4. 国際収支の悪化
貿易サービス収支が傾向的に悪化している。
とくに問題は、資本財としての電気製品の赤字増大と、IT関連サービス収支の赤字増。
5. 春闘は画期的な賃上げか?
物価上昇を考えると、例年より低い。実質賃金は低下を続けている。
生産性が上昇しなければ、実質賃金は上昇しない。
6. 補助や金融緩和でなく、人材育成と生産性向上を
金利は、収益率の低い対象への投資を増やし、生産性を下げる。
円安は企業利益を安易に増加させるので、生産性を下げる。

日本の金融経済の現況が分かり、大変参考になりました。また今さらですが、野口氏の名著を手に取ろうと思います。

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鈴木貴博氏講演

著名な経済評論家の鈴木貴博氏の講演を拝聴しました。https://www.hyakunen.co.jp

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『日本GDP世界第4位転落―このまま落ちぶれる前に何をすべきか?』と題して内容は多岐にわたりました。

IMFによれば今年、日本はドイツに抜かれ世界GDPランキングの4位に転落する見込み。

・予測では2026年までにインドに抜かれることも確実。

・この先の新しい世界ランキングは、アメリカ、中国、ドイツ、インド、日本の序列に代わる。

・14億人の人口からなる中国やインドが日本を抜くことは仕方ないが、ドイツの人口は日本の3分の2で、ひとりあたりGDPでは日本はドイツのはるか下ということになる。

・「ひとりあたりGDP」で日本の国力を確認してみると、日本の地位は世界3位どころか大幅にその順位を下げていることがわかる。

・世界の国や地域を「ひとりあたりGDP」でグループ分けをすると、まず目立つのが第一位集団で、アメリカ、スイス、シンガポールカタールなどの国々がこの集団に入る。これらの国々はひとりあたりGDPが8万ドル(約1200万円)前後と世界経済の中で突出。その共通点は世界から投資が集まる国だという点。

・二位集団はドイツ、イギリス、カナダなどのほとんどのG7加盟国や、アジア太平洋地域ではオーストラリア、香港、UAEなどの国が入る集団。これらはひとりあたりGDP5万ドル(約750万円)前後の国や地域。経済が順調な国々というのがその共通点。

・第三位集団はひとりあたりGDP3.5万ドル(約525万円)前後の国や地域。日本はこのグループに入る。欧州ではイタリア、スペインが、アジアでは韓国、台湾がほぼ同じ集団に入る。集団の特色としてはかつて世界一だったが落日を迎えた元先進国と、新興国から先進国グループ入りを狙う国々がこの集団に入る。

・ひとりあたりGDPを増やすためには3つの手段がある。①ひとりあたりの生産性を上げること②国全体の投資を増やすこと③成長を妨げるボトルネックを除去すること。

・一人当たりの生産性を上げるためにはDXなどのイノベーションでひとりひとりの生産性を上げることがわかりやすい対策だが、女性の地位向上もポイント。

・欧州ではすでに90年代に男女差別をなくす視点から配偶者控除が廃止され、納税は世帯単位ではなく個人単位に変更されるルールに変わった。

・その結果、欧州では男女平等の意識強化、男性の育児参加進展、女性の社会進出、女性管理職の増加と地位向上をもたらした。

・日本で同じことがおきれば「106万円の壁」「130万円の壁」で抑え込まれていた女性の労働時間も解放されるはず。

・日本では、モビリティ分野での社会変革が遅れている。日本はEV不毛の地と呼ばれるほどEVの普及は進んでいないが、それだけではなく、ライドシェアも無人タクシーもグリーンエネルギーも同時にすべてのことが遅れている。

・日本経済が仮に、2030年前後までに凋落を始めていくとしたら、その引き金になる可能性があるリスクはふたつある。

・ひとつがエネルギー不足。脱炭素を進めるためにはEV化が必須だとすれば、日本の電力供給量は少なくとも今の1.2倍に増やす必要があるが、日本の火力発電所は老朽化が進み、むしろこれからどんどん発電能力は減少するリスクを抱えている。

・もうひとつのリスクは日銀ショック。仮に、円の信認がもう一段階悪い方に進んでしまったらどうなるか。計算上は1ドル=215円になった段階で、日本は第三集団から脱落して第四集団に墜ちる。その集団にいる国々はギリシャポーランドハンガリーウルグアイなど。

現在の日本の世界での位置付けと今後の展望を考える上で、大変参考になりました。

税理士試験結果

8月の真夏日に受験した第73回税理士試験の結果が届きました。

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簿記論は50点とまあまあでしたが、合格までまだ距離があります。簿記1級の成績が伸びて来ているので、並行して受験を続けたいです。

財務諸表論は55点とあと一息です。理論の理解が曖昧なことと計算が完璧ではないことが得点が伸びない理由と思います。理論暗記と計算の精度を高めることが課題です。

相続税法は21点。理論が書けないことと計算が時間内に終わらないことが、得点が伸びない原因です。理論の暗記徹底と計算の速度向上が課題です。

税理士試験合格の道のりは遠いですが、来年こそ1科目でも取りたいところです。

三和酒類訪問

大分県宇佐市三和酒類株式会社を訪問しました。

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おなじみの麦焼酎いいちこ」をはじめとして、清酒・ワイン・ブランデー・リキュール・スピリッツなどを幅広く手がける総合醸造企業です。

1958年9月設立
3つの酒蔵が共同で始めたことから「三和」を社名としています。(後に4つ目の酒蔵が参画)

当初は日本酒のみ製造していましたが、次いでワイン、その後に焼酎と商品展開したことは初耳でした。

「辛島虚空乃蔵」では日本酒、「安心院葡萄酒工房」ではワインに関する展示をしていて、安心院ワインの試飲もできました。これら施設は、見学、イベントなどに開放していて、地域とのつながりにも貢献しています。

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商品ラインナップ、製造工程、仕入れと販売、社員数と組織、売上高、競合他社、事業展開の施策など、いろいろとお話を伺うことができ、中小企業診断士として非常に良い経験になりました。

簿記1級試験

第165回簿記1級試験を受験しました。

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前半の商業簿記会計学ですが、今回は取っ付きやすそうな会計学から解きました。

会計学は、記述問題と連結会計からの株主資本変動計算書の作成問題でした。一応、解答欄を埋めましたが、正答してるかどうか不明瞭です。

商業簿記は、定番の試算表からの損益計算書作成問題でした。ただ貸借対照表の数値を答えさせる問題もあり、財務諸表の全般的な理解が必要です。売価還元法で売上原価を求める箇所が正答できず、棚卸減耗費も出せなかったのが残念です。未着品の仕訳が正しくできず、全般的に商品関連で失点しました。

後半の工業簿記・原価計算ですが、取り組みやすい原価計算から解きました。

原価計算は、取替投資の正味現在価値を求める問題で、比較的回答しやすい論点でした。

工業簿記は、ロット別生産でロットごとの仕掛品、製品、販売品の流れが掴めれば高得点も狙える問題でした。途中の考え方に誤りが無ければ、受入材料価格差異、損益計算書の部分も含めて得点確保できたはずです。

全般的に、計算が複雑な商業簿記、工業簿記を後回しにして、取り組みやすい会計学原価計算を先に処理したため、前半、後半の各回で最後の方がグダグダにならず対応できました。後半は残り10分で完答し、途中退室しました。

予備校の模範解答を元に自己採点します。

行政書士試験

行政書士試験を受験しました。

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問題1 罪刑法定主義

問題2 社団法人、財団法人、NPOなど

問題3 基本的人権の間接的、付随的な制約

問題4 国務請求権

問題5 罷免・解職

問題6 国政調査権

問題7 財政

問題8 行政行為の瑕疵

問題9 行政上の法律関係

ここまでは不確かな回答でとりあえず対応。

問題10  マクリーン事件判決

ここはできたか。

問題11  行政手続法

問題12  聴聞

問題13  行政庁等の義務

ここはおそらくできないといけない問題。

問題14  不作為についての審査請求

問題15  審査請求の裁決

問題16  審査請求の手続

ここも本来外せない問題。

問題17  事例問題

問題18  行政事件訴訟法

問題19  抗告訴訟の対象

問題20  国家賠償

問題21  国家賠償

この辺りはある程度できたか。

問題22  地方公共団体

問題23  直接請求

問題24  事務の共同処理

地方自治法関連は見慣れない問題が多く難。

問題25  空港や航空関連施設をめぐる裁判

問題26  地方公共団体に関する法律の適用

この辺りも難。

問題27  消滅時効

問題28  所有権の取得時効

問題29  集合動産譲渡担保権

問題30  連帯債務

問題31  相殺

問題32  売買契約

問題33  契約の解除

問題34  損益相殺

問題35  遺言

民法関連も見慣れない形式の問題が多く、とりあえず回答。

問題36  商行為

問題37  設立時取締役

問題38  種類株式

問題39  役員等の責任

問題40  会計参与と会計監査人

商法も見慣れない問題が含まれ易しくはない。

問題41  表現行為に対する事前抑制

問題42  公営住宅法

問題43  処分の取り消しの訴え

多肢選択式もあまり自信が無いまま回答。

問題44  地方議会の出席停止に対する手段

問題45  保険金に対する優先弁済権の行使

問題46  契約不適合に対する権利行使

記述式は書き易い内容で比較的順調に回答。

問題47  G7サミット

問題48  日本のテロ対策

問題49  1960年代以降の東南アジア

問題50  日本の法人課税

問題51  日本の金融政策

問題52  日本における平等と差別

問題53  日本の社会保障社会福祉

問題54  日本における行政のデジタル化

問題55  情報通信用語

問題56  インターネット

問題57  個人情報

一般知識は自信を持って回答できる問題が少なく、消去法で確からしい肢を選択。

問題58〜60の国語の問題はよくできた。

全体的に例年の試験に比べて難しく、手応えはあまりありませんでした。

予備校の模範解答による自己採点結果は170点〜180点ほどで、記述式で得点が入れば180点の合格点に届く可能性もありますが、かなり厳しそうです。来年、捲土重来を期すことになる可能性も高いです。

中秋節セミナー

如水会館で、香港貿易発展局と日本香港協会の共同主催による中秋節セミナーに参加しました。

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パネルディスカッションのパネリストは、

松井泰樹氏(HSBC副会長)

姚萌氏(ケリーロジスティックスジャパン社長)

中村匠汰氏(CogSmart社長室医師)

モデレーターは、

中野嘉子氏(東京理科大学教授)

・香港のプライベートバンキングマーケットはスイスに次ぐ世界2位

・2023年の香港GDP伸び率は3.4%(IMF調べ)

・香港の失業率は2.9%でコロナ前水準に回復

・全世界GDP成長の35%は中国(IMF調べ)

・香港の航空貨物取扱量は世界1位

・香港の海上貨物取扱量は世界1、2を争う

・2023年上半期の日本から香港向け貨物は微増

・医療機器認証のCEマークは香港で取り易い

CEマークがあると中国での認証取得に有利

といったお話を伺いました。

懇親会では、如水会館のバイキングとラッキードローもあり楽しめました。香港やスイスからの参加者もあり、日本にいながらにして海外の情報も伺うことができました。

香港駐在時の知人も数名、香港から参加していて、旧交を温めることができました。

香港貿易発展局と日本香港協会のアレンジに感謝します。