「2030年に向けてー持続可能な未来のための創造的アプローチについて、UNDP総裁と語らうー」と題して、アヒム・シュタイナー氏/UNDP国連開発計画総裁の講演を拝聴しました。後半は、中谷純江氏/森有礼高等教育国際流動化機構講師との対談形式でした。
・現在、7億人近くの人々が極度の貧困状態にある
・成人の3分の1にあたる17億人がいまだに銀行口座を持たず、6億7,500万人がいまだに電気を利用できない
・さらに気候変動によって2030年までに1億3,500万人が貧困に陥る可能性がある
UNDPの活動(2023年)
・貧困の根絶:97ヵ国で雇用と生計に関する支援を実施
・国家の仕組みの整備:選挙参加を支援し累計4億3,910万人以上が有権者登録
・災害や紛争などへの危機対応力強化:危機下や危機後の状況において29カ国で300万人が雇用や生活向上の支援を実施
・環境保全:1億500万ヘクタール以上の陸上生態系を管理
・クリーンエネルギーの普及:5,500万人が再生可能エネルギーにアクセス
・ジェンダー平等:80ヵ国でジェンダーに基づく暴力撤廃に向けた取り組みを実施
UNDPでは170ヵ国2万3,000人の職員が働いていますが、野田章子氏/国連事務次長補兼危機局長はじめ約70名の日本人職員が活躍しています。
・2022年、日本はUNDPに対して第1位の支援国(拠出総額:3億8,826万米ドル)
・日本政府からの資金援助による実績
①ウクライナの越冬・インフラ支援、地雷除去対策、瓦礫の除去・処理、ウクライナ政府内の危機対応力強化、人権・司法
②ブータンでのデジタル技術活用によるコロナワクチン導入の促進
③カメルーンでの製造業のカイゼンプロジェクト実施
④南スーダンでのモバイルコート(移動式簡易裁判所)の開催
⑤アジア太平洋の学校における津波対策強化
⑥インドの農村部で小規模ビジネスを行う女性グループの公的支援の情報を提供するアプリ開発
⑦ガザ地区における瓦礫除去
⑧SDGsの推進
世界の貧困や格差、気候変動といった諸問題に取り組む国連の主要機関トップのお話を伺う貴重な機会でした。「援助は相手国のためになるかを第一に考える」「職員を危険な地域に留まらせる意思決定が最も困難」という総裁の言葉が印象的でした。