矢野康治財務事務次官講演

『我が国の財政政策について』と題した講演を伺いました。

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矢野氏は昭和60年一橋大学経済学部卒、大蔵省(当時)入省、令和3年7月に財務省トップの事務次官に就任されています。

日本の歳出と税収の差は年々開いており、そのグラフの形状を「ワニの口」と称したのは矢野氏です。

債務残高の対GDP比は、日本がギリシャ、イタリアを上回っています。

日本銀行保有の長期国債は年々増えており、日本は金利上昇に対して非常に大きなリスクを抱えています。

歳出増大の大きな理由は、社会保障支出の増大です。日本は社会保障支出に対して税収が少なく、高福祉低負担の国家と言えます。

2042年に高齢者数が、2065年に高齢化率が、それぞれピークを迎えるという予測があり、税収を上げるか、社会保障の給付を下げるか、あるいはその両方の対策が必要です。

社会保障支出は特例公債により補填され、その負担は将来世代に先送りされています。年金、医療、介護とも将来負担が増えていきます。

英米独仏はコロナ対策にも財源を確保する施策を打ち出していますが、日本の施策は財源を考慮していません。

令和2年度末の国のバランスシートを見ても、資産721兆円、負債1376兆円、655兆円の債務超過です。

日本の財政状況と将来世代の負担を考えると、消費税等の増税の可能性も否定できないかもしれないと感じました。